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2007/03/09 (Fri) 00:21
フルーツタルト vol.5

フルーツタルト
Vol.5 *Chapter 4. Each Turning Point*


fruit5.jpg

 1.Magic of a Sweet Cake.
 久しぶりに、ケーキなんか焼いてみた。
 空き巣に入られて以来、当然のことだけれどひどく落ち込んで、食事どころじゃなさそうなミノルを少しでも励ますことが出来れば、と思って。
 それでケーキ、というのが自分で考えてもすごく女の子的発想で笑えたけど、ミノルは甘いもの好きだし、疲れているときはやっぱり甘いものが欲しくなる気がして、頑張ってみた。
 3人で分けて食べた不格好なケーキを、2人は美味しいと言って喜んでくれた。
 その笑顔で、自分まで励まされた気がした。こんなものでも、人の心を励ますことが出来るんだってことに、ちょっと感動して、また作りたくなったわたしは今日も、スーパーに自転車を走らせる。

 2.The restart from Zero.
 部屋に空き巣が入ってからは、はじめのショックは次第に薄れ、カメラだけじゃなく、ちゃんと(?)通帳や印鑑も盗まれていたことや、調べたときにはすでに残高が数百円になっていたこと…次々に明らかになってくる状況に、だんだんいろんな感覚が麻痺させられていくような日々だった。
 警察が来たり、友達が心配してきてくれたり、バタバタしていて気ぜわしい。食事もままならない自分を心配して、リオがケーキを作ってきてくれた。持ってきたときは「今それどころじゃないんだよ」と、ちょっとノー天気な存在に見えたケーキも、食べているうちに心がほぐれてきて、今まで自分がどれだけ張りつめていたかが分かった。そのケーキは、マジで美味しかった。
 今は、空き巣に入ったのがリオやモモ、女の子の部屋じゃなくて良かったと、心底思う。男の自分ですらこのショックだ、女の子では心の傷も深かっただろう。
 しばらくして実家の母が、1台のカメラを持って上京してきた。親父の形見のカメラだった。自分の写真好きは元々父親譲り。けど、それを仕事に、と望んで状況したとき母は反対し、親父が遺してくれたカメラは1台たりとももらえなかった。それを、母が持ってきてくれたのだ。
 一晩泊まって母が帰ったあと、カメラを手に漠然と、将来のビジョンを考え直し始めた。

 3.Decisive Battle previous Night.
 ミノルの空き巣事件のあと、2つ続けてオーディションに落ちた。
 当のミノルは、最初はすごくピリピリしていたけれど、だんだんに表情も和らいできて、ずいぶん立ち直ったみたいだ。それに比べて自分は、本人じゃないくせに、いざというとき動揺が出てしまう。精神面の甘さは自分の責任だけど、だからこそよけいに自分に腹が立って、落ち込んだ。けど、ミノルにそんな顔は見せられないし、オーディションのことは誰にも打ち明けず、努めて明るく振る舞っている。それもまた、疲れを助長させてる気がする。
 そんなとき、最近妙にこっているのか、リオがよく作ってきてくれるお菓子は、元気の源になっている。美味しいものを食べると、心も元気になる気がするから不思議だ。
 明日はいよいよ、自分的本命オーディション。受かれば短期間だけれど、本場にダンス留学が出来る。リオにお願いして焼いてもらったマドレーヌを持って、いざ、出陣だ。


to be continued...

(吉本こずえ)

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