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2007/03/09 (Fri) 00:20
フルーツタルト vol.4

フルーツタルト
Vol.4 *Chapter 3. Labyrinthine Hours*


fruit4.jpg
1.The infinite possibility ~Peach's view
 最近、隣室のリオの元気がない。ミノルと推測したところによると、自分には明確な夢がない、ていうのが理由らしい。
「焦る気持ちも分からなくもないけど、それってむしろ自由だよ」
とミノルが励ましていた。それ、すごく分かる。
 "やりたいことが見つからない"ことは確かに先が見えなくて不安になるかもしれないけど、"自分にはこれしかない"と思った道を見つけて、進んでしまっている自分には、まだ自分の行くべき道を選ぶ無限の可能性があるリオの立場をうらやましくすら思うことだってある。自分には夢への道を進むために、断ち切ってきてしまった道、もう戻れない選択がきっとたくさんあるから…
 もしなにか起こって、自分の夢をあきらめなければならない事態になったとき、自分はどうなるんだろう。正気を保っていられるだろうか?
 リオを励ましながらもふいに、そんな不吉なことが頭をよぎる。けれど、ぐずぐず悩んでもいられない、今できることをするだけだ。
 悩まずに生きていける人間なんて、きっと、どこにもいない。

2.Positive and bright feeling ~Pear's view
 ちょっと鬱入ってたのを、モモとミノルに見抜かれてしまった。あの2人は本当に鋭い。そして、強い。
「やりたいことがみつからないなら、自分を知る努力をしなよ」
とモモに言われた。
 テレビ見たり、映画見たり、本を読んだり。何でもいいからたくさん情報を取り入れて、その中で少しでも自分が「おもしろいな」と思ったり、興味を持ったものを、自分で見逃しちゃだめだよ、って。感覚を鋭くして、でも焦る必要はないよ、って。
 ようし、と気合いを入れて、貯めてたバイト代をはたいて買ったパソコンを、ミノルがいろいろつないだりしてくれた。モモも、雑誌やCDを貸してくれたり、いろいろ気を遣ってくれる。
 2人の優しさにふれて、まだわからないけれど、なにか新しいことが始められる気がする。久しぶりにそんな、前向きな、晴れやかな気分になってきた。

3.The worst situation ~Berry's view
 PM9:45。
 鍵を開けて部屋に入ったときから、何かおかしいな、と思った。
 1階の電気は全室消えている。確かリオとモモは今日は、モモが誘ってダンスだか舞台だかを見に行くと言っていた。まだ終わっていないか、終わった後に食事でもしているのだろう。とにかく帰宅していないようだった。
 部屋にはいると風が吹き抜けていった。窓は閉めてでたはずなのになんでだ?
 そう思って電気をつけると、嫌な予感が的中してしまったことが一目で分かった。窓は見事にシリンダーのところが割られていて、半分くらい開いていた。
 タンスや机がぐちゃぐちゃに荒らされていて、まさにTVドラマや再現VTRで見る「空き巣が入った部屋」そのものだ。
 ハッと気づいて収納用の棚に目をやる。そこには3台置いてあったはずのカメラ…まさに最悪の事態だ、すべてなくなっていた。
 力が抜けた僕は、まるでマンガのようにそのままストン、とへたり込んだ。


to be continued...

(吉本こずえ)
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